お前のすべてを愛してやる【完】

「亜矢乃」



ずっと見ていた信が口を開いた。



「真琴じゃなくて良かったって、なんだよ。亜矢乃で良かったって、真琴が思うか?俺が思うか?衣月が思うか?誰も思わねぇよ、んなこと」



信が声を震わせた。



「うん、とりあえず。藤澤、武藤。喉乾いたから下行くぞ。あとは、大倉。任せた」



達哉は、スッと立ち上がると部屋を出た。



真琴と信は、二人を見て何も言わず同じく部屋を出た。



………。



二人の間に、静かな時間が流れる。



「…悪ぃ」



俯きながら小さな声で衣月が謝ると、亜矢乃は衣月を見つめた。



「俺のせいだな…」



衣月の言葉に、亜矢乃は文字を打って見せた。



【衣月くんは、悪くないよ】



「は?どう考えたって俺のせいだろうが。俺のせいだって言えよ!言ってくれって…、頼むから…」



衣月は亜矢乃の両肩を掴むと、そのまま項垂れた。



衣月くん…。



亜矢乃は戸惑いながらも衣月の頭にポンと、手をのせた。