お前のすべてを愛してやる【完】

「へぇ、俺を無視すんだ?」



イラついた衣月は、声のトーンが低くなった。



その声に亜矢乃は一瞬体をビクつかせたが、立つことはしなかった。



「衣月、もうチャイム鳴る」



「チッ」



信に言われ、亜矢乃から離れた。



「なぁ、亜矢乃。俺とも話してくれないの?」



信が亜矢乃の顔を覗いた。



亜矢乃はすごく悲しそうな顔をして、一度だけゆっくり瞬きをした。



それは、〝ごめんね〟と言ってるように見えた。



それを黙って見ていた真琴。



喋れないことを知ってる真琴は苦しかった。



少しでも口を開けば、喋ってしまいそうで、だから黙っていた。



そのうちチャイムが鳴り、衣月と信は自分のクラスへ戻って行った。