お前のすべてを愛してやる【完】

「震える前に、一人の男子がいて…」



「男子?」



「はい…。その男子も亜矢乃のこと見てて、お互いが止まってて。それでその男子が亜矢乃に声を掛けた瞬間、震えだして…」



「それだわ、島田先生」



「あぁ、間違いないですね。なぁ、武藤。その男子は亜矢乃に何かしたわけじゃねぇよな?」



「えっ?いえ、全然何も…。だから、わたしも何もできなくて…」



「そうか。じゃぁ、顔を見て声を聞いて色々…」



「フラッシュバック、してしまったのね…」



それを最後に二人は黙り、部屋が静かになった。



亜矢乃の震えも次第におさまり、衣月が立ち手を離そうとするとギュッと、まるで行かないでと言うように離さなかった。



「亜矢乃…?大丈夫だ、俺はここにいるからな」



そう言ってもう一度、亜矢乃の隣に座り頭を撫でた。



「なぁ、大倉。お前ら、別れたんだよな?」



二人の様子を見ていた達哉がポツリと喋った。