お前のすべてを愛してやる【完】

「亜矢乃!」



「は、はいっ」



突然大きな声で亜矢乃の名前を呼ぶと、亜矢乃はビクリとしながらも返事をした。



「俺は、あんたを傷つけたこいつらが許せねぇ。あんたが望むなら今すぐここで殴ってやるけど、どうする」



どうするって、そんなの決まってるよ…。



「ううん、いい。大丈夫」



だって殴ったって昔の記憶が消えるわけじゃない。



何したって絶対に消えないんだ。



「ま、あんたならそう言うと思ったよ」



衣月は鼻で笑うと由佳を離しクルリと、こちらを向いた。



「信、悪ぃ」



そう言うと信は〝あぁ〟と、いつも元気な信とは逆に冷静な彼がいた。



「亜矢乃、来い」



「えっ…」



衣月に腕を引っ張られ断ることもできず、ひたすら衣月の後ろを歩いた。