ん、あれ。
 ここ、どこだ?


 ああ、夢の中か。
 懐かしいな。

 これ、千春が小さい頃のだ。
 砂で手を汚くして...


 ほんとに、可愛かったたな。



『ゆーちゃんっ!!私大きくなったら
 ゆーちゃんのお嫁さんになりたいっ!!』


『ハハハっ。それじゃあもうちょっと
 千春が大きくなってからじゃないと
 結婚はできないな』


『やだ~!!千春ゆーちゃんと結婚する~!
 するったらするの~!!っ...え~んっ!!』


 泣かないで。
 泣かないで...。


 君に泣かれると、俺は胸が苦しくなる。


 涙を拭いてあげたい。
 笑顔にさせてあげたい。


 そう思ってるのに....どうしてこうも
 上手くいなかいんだろうね。



 バンッッ!!!


 あ、誰だろ。
 息遣いが少しだけ荒い。


「...天野君...っ...あれ...寝てる」



 ドクンッ――――


 目は閉じているけど
 声を聴いた瞬間心臓が跳ねた。


 
 ...千春。
 

「なんだ...寝てるのかぁ。よかった」


 そう言ってどんどん俺のほうに近づいて
 来る足音。