優しく私の背中を撫でてくれる。
 こういうところもやっぱり大人の接し方
 だなぁ、と関心してる私は

 
 まだ心が子供なのかな?



「将来は焦らずゆっくりと考えればいい。
 恋人はダメかもしれないけど、嫁なら
 俺は大募集だぞ?」


 
「それって、口説いてます?」


 ちらっと西原先生をみると、横顔が
 凛としていて格好よく見えてしまう。




「ああ。口説いてる」



 告白されてるっていうのに、というか
 むしろ結婚を申し込まれているって
 言うのに

 
 私はまるで映画の1シーンを見てる
 かのような気分で


 何だか実感が沸かなかった。




「...なんで、私なんですか?」



「さぁ?なんでだろうな」



 
 それ、答えになってないし。
 むしろ疑問系って...。



「千春の家はここから近いのか?」



「あ、いえ少し遠いです。電車で30分
 くらい...」


「それなら先に俺の家に来たほうが早いな。
 すぐそこだからちょっと待ってろ」



 ポケットからジャラっと鍵を持ち出し
 て、私に傘を持たしたまま走って
 先に行ってしまった。