「じゃ俺ランニング戻るから」
私に背中を向けると、どうしてか
心臓がドクンドクンと鳴り出す。
この背中。
私、知ってる。
走り出そうとする天野の背中を抱き
しめた。
「...なにしてるの?」
「ごめんなさい。だけど、何か自分でも
わからないっ...ただ、怖くて」
「怖い?」
また、
あの日と同じように
天野君の背中が被って見えて、
震える私の手を優しく天野は握る。
「大丈夫だよ。どうしたの?...何が怖い」
「あ、いや、ごめん!!なんか少しめまいが
しちゃって...」
ごめんね天野君。
今、天野君の背中が昔の知り合いと
重なって見えてたなんて、嫌だよね。
ほんとに、ごめんなさい。
「そう?俺一緒に家まで行こうか?」
「ううん。ほんとに大丈夫!!だから天野
君は早く行ってっ、ねっ!!」
ぽんっと背中を押した。
「わっ、...まあ千春がそういうなら...」
笑って、手を振る。
走っていく天野の背中はやっぱり
どこか似ていて、苦しくなった。


