~天野side~



 
 千春ちゃん。

 やっぱり俺のこと

 忘れてしまったんだね。



「...はあ~」


「?どうしたの?天野君がため息つく
 なんて珍しいね!!」


「なんでもないよ。それより大地。火、
 つけたままでいいの?」



「わあっ!!忘れてたっっ!!」



 沸騰しているやかんをすぐに止めに
 行く大地。


 俺は、
 俺はと言うと――
 


「もう天野君っ!!そんなとこで雑誌
 読んでばっかりしてちゃダメだよ!!」



 いつも番長である凪が座るでかでかと

 した黒いイスに座り、机に足を置いて
 
 雑誌を読んでいた。




「えー...いいでしょ別に」



 そんな大地に対して俺は、

 何だか子供っぽくなったな、とか思う。




 あ~。
 子供の頃のことを最近よく思い出すから
 なのかな。


 俺としたことが...。