背から焔が。煮えたぎる赤ではない、静かな青。炎がすべてを燃え尽くす。無にするため。文明も歴史も失くせばいい。足枷などいらない。世界が始まった時と同様。すべてにスタートはあるのだから。橋かもしれない。道かもしれない。道から道へと渡る架け橋かもしれない。きっと先生は今、先生のお背中は今、重荷を捨て去ろうとしているに違いない。小刻みに震えている。苦渋の決断を下すのだ。無か否か。還すべきなのではないか。また創り上げればいい。この手が、足があるのだから。耕せばいい。種を撒けばいい。たとえ華が開くのが、次の世代だとしても。目に見えるものが成果ではない。目に見えないものこそ、成しえた果て。先生は、私の世代、その次世代へと結ぶ橋なのだ。無骨ではあるが丈夫な、橋なのだ。「サッちゃん」先生が振り返る。背が見えなくなった。果たして先生は下ろしたのか、担いだままか…。「いーこと思いついた」私はゆっくり先生のもとへ。手渡された紙は、代々、受け継がれるであろう、書物となる。


「あの、これは?」


「ゴボちゃん」


「それは分かりますけど…」


「ゴボちゃん戦隊、ゴボレンジャー‼」