「学校の中で虐められた写真をネットにあげるだろ?するとGPS がその写真を撮った場所を特定してくれる。写真を撮った媒体の個体番号もな。もし酷いようなら、それが証拠になって公にできるかもしれない。それにネットなら公開する、しないも個人の自由だから『イジメ』で公開するのも手段の一つ。方法は幾らでも俺が考えてやる」

「まだよく分かんないんだけど……」

「『咲絢には、居場所がある』って事だよ。まず苦しい事は、このサイトに書き込め。なんも考えんな」

「このサイトが、あたしの……」


涙腺が崩壊したように咲絢が泣き出した。


ぼろぼろと涙を溢して泣く咲絢を、俺は力の限り抱きしめる。



「そんな顔して泣くな。お前はいつも笑ってろ。そんな咲絢なんか見たくねぇ」

「うん…うんっ!」


咲絢が泣き止むまで、長い時間ずっと背中を擦ってやった。



ようやく泣き止んで上げた咲絢の顔には笑顔が戻っていた。




良かった。



これなら大丈夫だろ。


「あ…と、もう一つ。このサイトに名前つけるか。咲絢がつけろよ」

「サイトの名前……?」


しばらく考え込んだ咲絢が満面の笑顔で俺を見た。



「『PRECIOUS 』がいい!」



……なるほどね。



「まぁ、咲絢のことだからそんなとこだろうとは思ったけど」


せっかくの咲絢との秘密の部屋だ。

後で可愛らしく改装しておこうか。