「如月さん、前にどうぞ」


司会の女の人に促されて、あたしはステージの前にペンギンみたいによたよたと歩き出た。


「今の心境は？」


にこやかにマイクを向ける司会の人の顔がぼやけてよく見えない。


あれ、あたし泣いてる？


なんて言えばいいのか分かんないよ。



「あ……嘘みたい、です……」



だってそれしか言えないじゃん！


嬉しくて涙で霞んで回りが全然見えないし！


スポットライトはあたしの回りしか照らしてないし！



「優勝した如月咲絢さんには、ティーンズ雑誌『Shelly 』の専属モデルとして活躍して頂きます」


女性司会者が言うと同時に、ステージの袖から華やかな雰囲気をまとった女の子が花束を持って現れた。