「え……。昂、くん?」 初めて咲絢を抱きしめた。 俺が少しでも力を加えたら、折れそうなぐらいに細い肩や腰。 髪から香る甘い匂い。 顔を咲絢の元に近づけ、ゆっくり唇を重ねた。 咲絢の全部を、覚えておきたかった。 「咲絢」 ………好きだ。愛してる。 だから。 「変わらないで。いつまでも、そのままの咲絢で笑っていて……」 俺が君を守れるようになる、 その時まで―――。 .