―――新卒だった俺は、あの頃まだ何もこの業界の事を知らなくて。


それなのに、社長からいきなり《Shelly》のオーディションで優勝した女の子のマネージャーをやれと言われてすごく困ったっけ。



先輩マネージャー達にアドバイスを受けたり助けてもらったりしながら、ようやく咲絢の活動を軌道に乗せることができた1年目。




本当は咲絢が《ぷれしゃすっ!》の主演に決まった時に、社長には言われていたんだ。




『荷が重いようならお前は咲絢のマネージャーから外す』と。



正直、荷は重かった。


だけど俺は咲絢の側に居る事を選んだ。



疲れててもいつもころころと笑って俺をからかう咲絢を、この業界の汚い事からできるだけ守ってやりたかった。