魔法少女の《リン》の髪は、足まである超ロングのパステルピンク。それを高い位置でツインテールにしている。



だから当然ウィッグを被るんだけど、ショートヘアのウィッグのサイドに長いバンスをしっかり固定してるから歩くバランスがとれなくてなかなか難しい。



それに衣装はヒラヒラのミニドレスだし、靴は高いヒールのブーツだし。


おまけに目にはライトブルーのカラーコンタクトまで入れられたし。



一応次のシーンの立ち位置を確認しようかな、と台本を手に足を踏み出した途端にあたしはよろめいた。




まずい、顔面から倒れる!




と思ったのは束の間、あたしは誰かに抱き止められていた。


「……ありがと、昂くん……」

「どういたしまして」


なんだこれ。

昂くんがまるで執事みたいだ。


「せっかくの衣装を汚したら駄目だろ。プロなら気を付けて歩けよ」



前言撤回。

やっぱり昂くんは仕事の鬼でした。