そして迎えたオーディション当日。


いろんなティーンズ誌のモデルの子ばかり、30人ぐらいが会場に集まっていた。


審査は変身した衣装を着てポーズをとるのを始めに、バトルシーンの立ち回りや服を着てのウォーキング、それに主人公が彼氏の告白を照れながら受けるなんてシーンの審査なんてのもあった。


他の子の審査を覗いたら、たまに審査員から「この台詞言ってみてくれる?」なんて言う指示がとぶ。


昂くんが言うには、このオーディションで決めるのは主人公だけじゃなくて他の2人の仲間の女の子も決めるみたいだって。


それがどうした。あたしは最初から主人公の役しか狙ってないし。



漫画を読んでみて、一番感情移入できたのはツンデレの主人公だったしね。


それにしても気になるのは審査員席に座る、あたしと同年代の男の子たち。



………あの人たちって、デビューしたばかりの男性アイドルデュオ《Justice 》の2人じゃなかったっけ?

なんでここにいるんだろ?



「……《Justice 》の事務所、ごり押ししたな」

あたしの後ろで昂くんが呻いた。


「どゆこと?」

未だに状況が読めないあたしに、昂くんが説明してくれた。


「あいつらの事務所は男性アイドルグループばっかり所属してるから女の子のファンは勿論多いわけ。で、番組制作側としてはそれらのファンの子も取り込めば、高視聴率に繋がるからあいつらが番組に出てくれれば都合がいい。事務所側も更に新しいファン獲得のために番組に圧力でもかけた。あいつらは新人だからギャラも問題外だろうしな……そんなとこだろ」



………ということは、つまり。



「……ごめん。よく分かんない」

「あの2人が主人公の仲間役って事だよ。ついでに言えば、そのうちの1人が彼氏役な」



えと、もしこのオーディションに受かったら、あたしは《Justice 》のどっちか1人とカレカノ役になる。って事ですかい?