そして迎えたオーディションの最終審査当日。


会場には小学校の高学年から中3ぐらいの女の子が20人ほど控室に集まっている。


最初は水着を着てウォーキングを披露する。


それから個人審査へと移っていった。


みんな小さい頃からモデルをやってるか、バレエやピアノなんかを特技にしてるみたい。


やだ、個性がないのはあたしだけじゃない !?



「次、14番の如月咲絢(きさらぎ さあや)さん、どうぞ」




バクバクする心臓を押さえて、あたしはステージに立った。


「如月咲絢です。宜しくお願いいたします」


礼儀正しく大きな声で、審査員の人達に挨拶をした。



「……如月…咲絢さんね。まず、今回のオーディションの志望の動機を聞かせてくれる?」


30代ぐらいのキレイな女の人が、まずあたしに聞いてきた。



「えと…。オーディションに応募したのは友人です。けど、最終審査に残らせてもらったと知って、あたし自身がモデルを目指してみたいな、って思うようになっていました」

どうしよう。


緊張して手に汗がじっとり滲んでる。


「そう。じゃあ、あなたはどんなタイプのモデルになりたいか、そのイメージってあるかな?」


なりたいモデルのイメージ?


えっえっ、あたし雑誌のモデルなんて詳しく知らないから『あんなタイプに』とか具体的なこと言えないよ !?


「どんな感じになりたいか、そのイメージでいいよ」


無精髭を生やしたオジサンが助け船を出してくれた。


モデル…って言ったら…。


女の子たちに夢を与えて、憧れてもらえるような存在?


でも、あたしは……。