『昂くん』と呼ぶ声も。



素直に感情を見せる仕種も。



泣きそうに無理して笑う瞳も。







そんな咲絢が愛しくなって。




離したくなくて。





自分だけのモノにしたい。




衝動的に、咲絢を胸に閉じ込めて、力の限りに抱き締めた。





このままずっとこうしていたい。


でもそれは、叶わない夢。



だけど、最後に一度だけ。







咲絢の顎を掬って、唇を重ねた。







咲絢の心に刻み込むように、濃厚な口づけを―――。