「……咲絢には、こんな業界でも心を許せる仲間がいるんだな……」


ドレスに着替えてスタイリストさんにメイクを施して貰う私を見ながら、不意に鳥羽さんが話しかけてきた。




私はそれに返す言葉もなく、ただその淋しそうな顔を見つめるだけだ。





「陽菜乃はプライドが高かったから、業界でも友人を作れなかったんだ。その点、咲絢はマジで偉いよな。高橋さんに聞いたよ。苛められても、めげないで頑張ってたって……」




だって、それを助けてくれたのは。


「……恭哉が、助けてくれたから。苛められてる私に、真っ先に気づいたのは恭哉だった」





事実を告げれば、傷付いたような表情を隠しもしない鳥羽さんに、若干イラついた。