桜色ノ恋謌

「今日の撮影は以上でーす。お疲れ様でした！」


カメラマンとスタッフは、慌ただしく帰り支度をしている。


今日撮った何百枚もの写真のピックアップ作業に追われるんだろうな。


入稿前にあたしも自分でチェックしたいけど、そんな時間あるだろうか？




アユもこの後、まだ撮影が控えているからスタジオに戻るみたい。

あたしはこのまま帰ってもいいとは言われたけれど、まだまだ遊びたい気分全開だ！


「やーだ！まだスタジオ行きたくない！あーそーびーたーいぃ！」


アユは散々駄々をこねた挙げ句、おっかないマネージャーさんに脅されて渋々帰っていった。


「咲絢はまだ遊びたいの？」

スーツ姿の鳥羽さんが意地悪く笑ってあたしに聞く。

「遊びたいじゃなくて遊ぶの！鳥羽さんも一緒に、だよ !?」

「はぁ？なんで俺 !?」


なんでって！


「絶叫系のアトラクションに一人で乗るなんて、つまんなさ99％じゃん？だから」

「残りの１％はなんな訳？」

「……虚しさ」


鳥羽さんの反対意見も聞かないで、あたしはその腕をぐいぐい引っ張ってアトラクションの列に並んだ。


「てーか俺スーツなんだけど……」

そんな意見も無視無視。