咲絢にはただ「バイトをしている」としか言わなかったが、この1年の俺の生活は文字通り息つく暇もないくらい忙しかった。



バイトなんてとっくにやめた。忙しいのは経営する会社のせいだ。




咲絢が映画の撮影に入ってからは、大学生としての学業より会社の責務に追われて碌に実家に帰ることもできず、家族にすら会えていない。




俺がこんな地位や知名度を必要とするのは、全部咲絢の為。





人気が出てきた咲絢と付き合うにはこれしかないと思ったからだ。





昔から、咲絢を守れるのは俺しかいないと分かってた。


咲絢が芸能界に入るのを決めた時に心配した、この業界の汚い醜聞や悪癖からどうやってコイツを守れるか。