公佳ちゃんが指したのは同じドレスの色違い、黒い方だった。
「ぷっ。同じの選んでどーすんだよ」
月島くんがヒーヒー笑って私達をバカにしてる。
……なんか悔しいな。
「試写会にはおそろで出る?」
おずおずと公佳ちゃんに聞いたら、「話題になるかもね。着ようよ?」って答えられた。
うん、月島くん達に対抗する女の子デュオみたいでちょっと良いかも。
少しは気が晴れた私は、注文を公佳ちゃんにお願いした。
そしてパーティ当日の金曜日。
指定されたパーティ会場になっているのは、政治家の会合などでも一番よく使われる人気ホテルだった。
恭哉に逢いたいという逸る気持ちを抑えて、高橋さんや社長と一緒にエレベーターに乗り込む。
他の参列者達はもう会場内入りしているようで、賑やかなざわめきが廊下にまで響いていた。
ホテルの大広間の一つに、社長の後に続いて緊張しながら足を踏み入れた。
そこはまるで別世界。
華々しく着飾った女優さんや、やや売れ行きが落ち目のアーティストさん、それに背広を着た多分どこかの社長さんに、見た目プロデューサーやディレクターだと分かる人達。


