桜色ノ恋謌

マンションの部屋に戻り、何度目かは忘れたけど恭哉の携帯にかけてみた。


……やっぱり、繋がらない。


繋がっていないのは、私と恭哉の心なのかな。




ううん。まさか、そんな。




留守録にはわざと明るい声で「声だけでも聞きたいから、電話待ってるね!」ということだけを残して切った。



私の為に頑張ってるんだからって高橋さんが言ってた。



……だけど、恭哉との関係が変わってしまいそうで、なんだか怖い。


聞きたいことはいくらでもあるのに、いざ恭哉と逢ったら何を話せばいいのか分からない。


――どうして、全国でも有名な社長になったの?


――恭哉が、何を考えてるかが分かんないよ。



昔なら、迷子になった私を見つけだしてくれたのは、恭哉だったのに。


今は、その恭哉が私を迷路に閉じ込めちゃったんだよ……。





頭をふるふると振って、気持ちを切り換えるためにに公佳ちゃんと月島くんの携帯にメールを送った。


二人からの返事はしばらくしてから返ってきて、二人とも明日は学校に行くと言っている。



二人に相談してみようかな。恭哉のこと。





そしたら何か気が楽になれそうだと思う。