桜色ノ恋謌

「ほら見て。メニューに『罰ゲームメニュー』っていうのがあるんだって。トマトジュースが入っているはずの4つのグラスに1つだけ、タバスコ入りのグラスがあります」


納得したのか、月島くんも大地くんも頷いた。


「……ふーん。じゃ、そのタバスコグラスを当てた奴に罰ゲーム?」

「罰ゲームって何すんの?」



公佳ちゃんは、どこから出したのか有名なゆるキャラの着ぐるみを持ち出してきた。

大きい紙袋はこの為でしたか!



……なんか色んな意味で、公佳ちゃんはすごい。


遊ぶのにも手を抜かないとか!完璧すぎる。




「マジこれどうしたよ?つか罰ゲームなしに、俺コレ着てぇ!!」


大地くんは爆笑しながら早速着ぐるみを着込んでは「ヒャッハー!」とか喜んで叫んで跳び跳ねている。



………おい月島くん、空気読めよ。



にっこり笑って公佳ちゃんと二人で、月島くんににじり寄った。


「何?まさか他にも何か仕込んでんの?」


月島くんは被り物はしたくないみたいで、あからさまに私達から距離を置いている。



「フロントに仮装系の衣装があったわよね」

「……空気読め、だよね月島くん?」

「ふざけんな。俺はやらねぇ。絶対ぇやらねぇからな!」



つまんないの。あ、いや待てよ?



「タバスコジュース飲んだら月島くんもだよ?」



月島くんには妥協案を提案した。


「は?やだし」


でも即拒否された。


「へー、月島くんはチキンなんだー」

「そだよ。こう見えて翔太は結構チキンだから。ライブん時のワイヤーアクションもビビってたし。なぁ?」

「うわ、それホント?」

「見かけによらないわねぇ」



大地くんを手始めに、一人ずつで止めを刺したのが効いたのかやっぱりヘタレなのかは分からないけど、月島くんも自棄になってフロントに行ってしまった。




ワクワクしながら待つこと5分ほど。

月島くんが着てきたのは、フツーにパンダの着ぐるみでした。なんかつまんない。顔見えないし。



しかもこのパンダ、手に持ってたカラフルアフロのウィッグを私に無理矢理被せたし。