そこまで敵対心を持つ必要はないんだろうけど、恭哉の事を話してもしかしたら別れさせられるかも知れないのは嫌だ。



「……メリットがないなら別れなさい……」



力なくぼそりと呟いた高橋さんに切りつけるように私は言葉を投げつけた。





「高橋さんみたいにですか？」




高橋さんは倉木さんにとって、メリットがない自分の恋を終わらせたつもりかも知れないけど。


何十年経っても二人の恋は終わっていなかったじゃない。


倉木さんも高橋さんも、自分の気持ちにけじめをつけてないじゃない。


私だって恭哉への気持ちを諦めるつもりはないんだから。



「私…私の事は、今は……関係ないでしょう？」

「関係なくないです。高橋さんも倉木さんもまだ二人とも昔の恋心を引きずってるのに、私に『別れろ』だなんて説得力無さすぎます」



高橋さんが気まずげに私から視線を逸らした。