次の日の朝の早くに、ホテルの部屋まで高橋さんがやってきた。



……まだ現場に行かなくてもいい時間なのに朝早く叩き起こされた私はさすがに仏頂面で出迎える。


何でこんなに早いのよ、もう。




「咲絢、話をしたいの。時間をちょうだい?」


高橋さんの言い方は有無を言わせない空気をまとっている。だったら最初から「いい?」なんて聞かなきゃいいのに。



「……どうぞ」



部屋の窓際のサイドテーブルに高橋さんを招き入れた。



何を話すのか、色々と心当たりはあるけど、ひとまず先に高橋さんの言いたい事を聞いてみようかな。




「……何から話して何を聞けば良いのか、私もまだ混乱しているんだけど……。まず、咲絢に付き合ってる男がいるのは本当?」



その話から来たか。


でも恭哉の名前やプライバシーを全部話す気は絶対に無い。



「本当です。どこに住んでるとか誰かとか、それを教えるつもりはありません」


私は昨日の続きとばかりに高橋さんを睨み据えた。