「……如月さんにはそういう方がいるの?」


突然降ってきた声に驚いて振り返った。


「如月さんとお話をしてみたかったの。今晩お時間ないかしら?」




なんと………。桜小路様がわざわざ私をご指名下さっている……。



なんか怖い。




「……夜、ですか?」


私は迷いながら桜小路さんに聞いた。


……断りたい断りたい断りたい断りたいつーかマジで怖い!



取り巻きに囲まれてボコボコにされるとかするんじゃないの!?



「マネージャーに聞かないと……」


やんわりと私が言った時、高橋さんがやってきた。


桜小路さんが高橋さんに私と二人で話がしたいと告げると、高橋さんですら、ややためらいながら桜小路さんに言った。



「申し出は有り難いのですが……。急な話で如月も戸惑っているようです。今度都合が良い時に……」

「明日、私と如月さんはトラブルがなければ早く上がれますよね?明日は如何ですか?」


桜小路さんは尚も食い下がった。


なんでこんなにまでして、私と話をしたいんだろう?


また何か言われるのかな……?



「まあ……。それでしたら問題はありませんが……」

「では明日、場所を予約しておきますので。宜しくお願いしますね」

「いえ。こちらこそ」



高橋さんと私に一礼すると桜小路さんは去っていった。

慌てて私もぺこっと頭を下げた。