翌日は学校に行ってもぼんやりしていて、何も手につかなかった。


―――昂くんは、私を裏切っていなかった。今でも好きだと言ってくれた。


―――でも私には、恭哉がいる。迷う必要なんて、ない………のに。



心が乱れてまだ少し落ち着かない。





こんな状態で授業を受けるのも苦痛だったから、私は今日もサボる事にする。


空に近い場所で何も考えずにただ流れる雲を見ていたかったのに、不意に空は影に遮られた。


「……今はあんたの顔、見たくないんだよね……」


屋上に寝そべっている私のところへ、いつものように邪魔しに来たのは月島くんだ。




「番組出してやったんだから〔ありがとうございます〕ぐらい言えねぇの?」


珍しく真顔でそんな事を言い出した。


「あ……。ごめん。ありがとうございました」


起き上がってぺこりと頭を下げた。



「まあ別にいいけどさ。つか、今何してたよ?」


煩いなぁ。一人になりたいのに。



「……別に。ボーッと空見てた」



高く空はやわらかく澄んでいて、青い色はどこまでも続いている。


雲はたなびいて天使の羽根のようだ。


ああ、もういつの間にか夏だっけ?

もう高校生活も2年ってそんなに経ったんだ。


こんな仕事してるから、時間の流れがいやに早く感じる。


「……好きな奴の事とか考えてんの?」


月島くんの一言にギクリとした。


なんでこいつに図星さされてびくつかなきゃなんないんだよ!


「……月島くんには関係ないでしょ」


そうだよ、こんな倫理観がどっかぶっ壊れた奴になんで言わなきゃいけないのよ。