「……こうして咲絢を送るの、1年ぶり……になるのか?」
車のルームミラーでちらっと咲絢を見ると、咲絢は窓の外に顔を向けたままだ。
「すごいな。《啄木鳥》も好評だったし、順調じゃないか?」
「……ありがとうございます」
昔のようなコミュニケーションをとれない事に、かなり苛々する。
「陽菜乃の事ごめんな。あいつ俺がいないと誰の言うことも聞かないんだ」
「手塚さんのお世話役なんですか、鳥羽さん?」
何故だ。なんで、皆がそう言う風に捉えてしまうんだ?
「違う。ただあいつは……」
「手塚さんにとっての鳥羽さんが、大切な人だというのは分かっています」
それはそうなんだけど、ニュアンスが違うんだ。
俺は陽菜乃の事は、事務所に所属する大事な『ブランド』だと思って仕方なく接しているだけなんだ……。
「そうじゃないと、キスまでしませんよね?普通は」
「……キス?」
まさか、あれを見られてた?
「去年、テレビ局で手塚さんとしてましたよね?」
「いや……それは……」
俺がしたくて、した訳じゃない。
そうしないと次の仕事をキャンセルするという脅しに屈してしただけだ。
「それは誤解だよ、咲絢。陽菜乃と俺はそういう仲じゃないから」
信じてくれよ。っつっても今の俺が言っても説得力なんてまるで無いけど。
「……私には関係ありません。それに、私にもいますから。大事な人が」
鈍器で殴られたような衝撃。
予想してなかった訳じゃない。
だけど、それを咲絢の口から聞くのは、辛い。
車のルームミラーでちらっと咲絢を見ると、咲絢は窓の外に顔を向けたままだ。
「すごいな。《啄木鳥》も好評だったし、順調じゃないか?」
「……ありがとうございます」
昔のようなコミュニケーションをとれない事に、かなり苛々する。
「陽菜乃の事ごめんな。あいつ俺がいないと誰の言うことも聞かないんだ」
「手塚さんのお世話役なんですか、鳥羽さん?」
何故だ。なんで、皆がそう言う風に捉えてしまうんだ?
「違う。ただあいつは……」
「手塚さんにとっての鳥羽さんが、大切な人だというのは分かっています」
それはそうなんだけど、ニュアンスが違うんだ。
俺は陽菜乃の事は、事務所に所属する大事な『ブランド』だと思って仕方なく接しているだけなんだ……。
「そうじゃないと、キスまでしませんよね?普通は」
「……キス?」
まさか、あれを見られてた?
「去年、テレビ局で手塚さんとしてましたよね?」
「いや……それは……」
俺がしたくて、した訳じゃない。
そうしないと次の仕事をキャンセルするという脅しに屈してしただけだ。
「それは誤解だよ、咲絢。陽菜乃と俺はそういう仲じゃないから」
信じてくれよ。っつっても今の俺が言っても説得力なんてまるで無いけど。
「……私には関係ありません。それに、私にもいますから。大事な人が」
鈍器で殴られたような衝撃。
予想してなかった訳じゃない。
だけど、それを咲絢の口から聞くのは、辛い。


