咲絢と離れてからの俺は、不運に見舞われているとしか言い様がない。



最初は陽菜乃の軽い嫉妬からだった。




咲絢に次々に仕事が舞い込むようになると、「なんであの子ばっかりなの !?」「あの子が私の仕事を盗ってるんでしょ !?」などと言っていたらしい。



咲絢と離された後、俺が担当したのは15才の新人モデル。


また新人モデルか、とも思ったが、咲絢を担当していた時に作ったコネがそのまま使えたから、この時は楽ではあった。



だが何を勘違いしたのかは知らないが、陽菜乃は「鳥羽が担当したから如月咲絢が売れたんだ」なんて言い出した。




それは違う。

咲絢は、自分で自分の道を切り開いて来たのに。



事務所がどんなに陽菜乃を宥めても、陽菜乃は聞く耳を持たない。


困り果てた陽菜乃のマネージャーは、度々俺を呼び出すようになった。