桜色ノ恋謌

「……あまり彼らの挑発に乗るんじゃないわよ?じゃないと、彼らのファンに痛い目に遇わされるからね」


分かってます高橋さん。


できれば同じ空気すら吸いたくないんですから。



一人だけでバラエティーに出るのは初めてだ。


他局で《啄木鳥の森》をやってる時に、主役の藤原さんと一緒になら出たことあるんだけどな。バラエティー番組は。




撮り直せるからまだ良いけど、回りをギャラリーに囲まれてるのが何ともやりづらい。


セットの袖まで高橋さんは着いてきてくれて、「アドリブを入れられても上手く交わして」とアドバイスしてくれた。


そりゃ心配もするよね。今までに月島くんのファンの子達には、何回も嫌がらせや脅迫までされてきたんだもんね。




「じゃあ如月さん、ここにお願いします」


ADさんに指示されて、セットのドアの前に立った。



ドアを開けるように言われて、ドアを開けてセットの中に入る。


シチュエーションとしては、《justice》の二人が経営してるカフェに、ゲストがやって来てトークを繰り広げる……。みたい。


だからなのか、二人の衣装もギャルソンとかウェイターっぽいものだった。



「本日のゲストは如月咲絢さんです」


大地くんが私を紹介すると、客席に座るサクラ達から拍手が沸く。



あー緊張するー。