「月島くんって、実はあたしと同じクラスだったんだよね。現場でも学校でも一緒かと思うとウザくてさ」

「……どんな奴」


何も言わないであたしと和生の話を聞いていた恭哉が口を挟んだ。



「どんなって。嫌な奴。セクハラ発言するし」



あれからも毎日のようにあたしに着いて回る月島くんは、本当に鬱陶しい。


「……気を付けろよ。和生、遅いからお前は先に帰れ」

「えっ !? いきなり何でその流れになんの !? つーか恭哉兄ちゃんが送ってくれるんじゃねーの !?」


和生を帰そうとする恭哉の言葉は、確かに不自然さを感じる。


「タクシー呼んでやるから帰れ。俺は咲絢に話があんの」


そう言って恭哉は和生に目配せをした。


「ああ…。そういうコト、ね。ならタクシー呼んでよ」

「おう」


恭哉はタクシー会社に電話をかけだしたけど。


今ので何が分かったの !?

ていうか、『そういうコト』って何 !? 気になるんですけど !!



「……5分で来るって。タクシー」


和生にタクシー代を渡して恭哉が告げる。


「分かったー。じゃあ邪魔者は帰るわ。姉ちゃんサンキュー」

「え。下まで送ってく」


いいからいいからと言って、和生はドアを開けて帰っていった。



「……映画でも月島と、またキスするんだっけ?」