桜色ノ恋謌

昔の恭哉くんには感じなかった〔男〕を意識して、あたしはどうしようもないくらいに怖くなった。


今から恭哉くんを受け入れることと、自分の体がその先を求めていることに。




「咲絢。……いい?」

「痛く…しないで?」


恭哉くんがにや、と笑ってあたしの髪にキスをした。


「可愛いこと言ってんなよ。止まらなくなるから」

「可愛、い……?」

「可愛いよ、咲絢は。……いつまでも『くん』付けで呼ぶし」


だって、物心ついた時から恭哉くん、だったんだもん。



「卒業して。名前で、呼んで……」


恭哉くんが、あたしの足を開かせた。這い回るその手の動きに振り回される、あたしの体。


「…やっ……」


下着をずらされて指でその部分を触られただけでも、あたしはびくんと感じてしまう。


「名前、呼んでみて。分かるだろ?」

「きょ…や……」

「駄目。聞こえない。言わないならもっと恥ずかしい事するから」


恭哉くんの意思で動かされる繊細な指使い。


「や…ぁ。きょう、や…恭哉…」

「……言えるじゃん」


更に激しくなる『恭哉』の指。