桜色ノ恋謌

恭哉くんの顔がごく近くにある。

「咲絢は誰かとやった?」

やった?やったって……エッチの事だよね?


あたしは首をふるふると横に振るのが精一杯だった。


「……咲絢の初めては、俺に頂戴?」


熱に浮かされたような恭哉くんの声が鼓膜をくすぐって、それだけで体が痺れだすんだ。


「……恥ず…かしい」


あたしの全部を恭哉くんに見せるのが。



「咲絢の全部を、俺に……くれよ」


恭哉くんの膝にあたしが乗る形で固定された。

自然にあたしの腕が恭哉くんの背中に回る格好で。


キスは最初からハードにあたしを求めている。


「ん…ふ……ん」


自分が出すこの声には、いまだに恥ずかしさを感じる。




抱き抱えられて、優しく体をベッドに降ろされた。


恭哉くんはあたしの髪から唇、顎……ゆっくりと下に向けて指で撫でていく。


激しいキスの合間に、与えられる刺激は強い。



ニットのカットソーを捲りあげて入ってくる、恭哉くんのごつごつした手。


目の前に迫る綺麗な鎖骨。