桜色ノ恋謌

そして、気がつけば腕を回され羽交いじめにされた、あたしの体。


ふぅっと耳に息を吹きかけたのは、恭哉くんの悪戯だろうか?



「……やだ。止めてよ、恭哉くん……」

「駄目。待てない」



耳をかぷりと甘噛みされて、きゅんと苦しくなったのは、なぜか胸の奥の方。




『私だけを見てよ!』


……テレビから聞こえた陽菜乃ちゃんの台詞で、心臓が不規則に騒ぎだす。


昂くんにはもう、陽菜乃ちゃんっていう人がいるんでしょ?


だったら……。




恭哉くんがあたしのうなじから背中に舌を這わせた。


それだけでゾクゾクしてくる。