制作に携わる人全てが挨拶し終わると、早速これ以降の詳しいスケジュールや監督の意向が伝えられた。


年末年始を挟んで本読みからリハまで、かなり詰め込んだスケジュールだ。



年末年始は2日ぐらい休みたいよなぁ。


クリスマスには実家に帰るつもりでいる。

今までのクリスマスは家族や友達と過ごしてきたから、一人でマンションにいるのは寂しくて絶対に嫌だった。



「お前さー、最近学校行った?」


月島くんがさりげなく聞いてきたけど、あたしはスタスタと会議室を後に……。

なんだこの手は。


「……月島くん、離しましょう?」


こいつめ、あたしの手をぎっちり掴んで何をしたいんだ!



「だーら、学校に行ったかどうか聞いてんの!」

「《啄木鳥の森》を撮ってる間も行ってませんが何か?」


こう答えれば満足か?


「……なるほどね。桜小路が最近は毎日学校に行ってるらしいぞ。もしお前も行くことがあるなら気を付けろ」

「……ご忠告どーも。手、離して」



振り払うようにして、あたしは月島くんから距離をおいた。



「……もうすぐ冬休みでしょ、学校は」

「あ。そう言えばそうかも」


どっちにしろ、あたし達には縁がないと思う。