桜色ノ恋謌

「……どう?面白い?」

「うん。マリンスポーツもやりたくなってくる。楽しそうだねー」

「だな。サーフィンとか面白そうだしな」

「そうだね」




そうして、あたしと恭哉くんは二人で舳先に座って手を絡め……。



はっ !! いつの間に !?



「き…恭哉くん、手を……」

「なに?」


なに?って!絶対分かっててやってるよね、その顔は !?


「手を…その……。離し、て?」


「嫌だ」



だから何でよ !?



「……手を離したら、お前はまたすぐ迷子になるから離さない」

「もうそんな年じゃないし」


膨れっ面を恭哉くんに見せたら、びよーんと頬を引っ張られた。


「なってんだろ、迷子に。だからこうしてやってんの。それとも、俺の他に誰か咲絢を甘やかす奴でもいるってーの?」



う。ちょっとこれはクリティカルヒットしたかも。



「……今は、いない……」