桜色ノ恋謌


小型の船はこれでも大人が20人は乗れるんだそうだ。


「いい凪でよかったな。天気も晴れだし」

「潮風が気持ちいーねー!」




船は貸し切り状態。

天気は晴れ。

穏やかな波がちゃぷちゃぷと船をくすぐっていく。

ヨットが何艘かセイリングをしていた。




「あっちの湾はよく映画のロケで使われたりするんですよ」



白髪混じりの案内人さんが、湾内の説明をしてくれた。


「若い人達がサーフィンをよくやってますよ。メッカなんて言われてるみたいですがね」


あたしも恭哉くんも、そのおじさんの説明を黙って聞いていた。


やわらかい風が肌に当たる。


心が洗われるみたいだ。