桜色ノ恋謌

「……あれ、恭哉くんにあげたい。お世話になったお礼に」

「……ひょうたん……」



店頭に飾られたひょうたんのランプ。


エスニック調の彫刻から漏れる光に……笑える。だってひょうたんだもん。



「いや俺要らねーわ。どうせ貰うんなら、あそこにあるネクタイでいい」

「どれ?」


あれ、と洋服が飾ってあるコーナーに陳列された、ネクタイの一本を恭哉くんは指差した。



「じゃー、ひょうたんとネクタイ下さい」


店員さんにあたしがお願いすると、途端に恭哉くんが慌てだした。


「俺ひょうたん要らねって!」

「やだひょうたん可愛い」

「……あの、お客様…?いかがなさいますか?」

「包んで下さい。プレゼントでひょうたん」

「語尾にひょうたん付ければ良いってもんじゃないだろ、ひょうたんって」



二人でひょうたんにハマったらしい。