保育園にいた頃、あたしは『秘密の道』をみつけるのが楽しかった。
今ぐらいに大きくなると何の変哲もないただの道が、あの頃のあたしにとっては未開の世界に繋がる道だと思えたんだ。
それでいつも迷子になって、最後には必ず恭哉くんがあたしをみつけてくれてたっけ。
「あったな。咲絢の『冒険ごっこ』。自分がどこにいるのか分かんないで、俺がみつけた時にはいつも泣いてんの」
「泣いてないよ!」
「泣いてたね。意地張んな」
うっ。泣いてたのは事実だけど。何もそんなに強く言うことないじゃん。
「……咲絢は知らないとこに行きたがるけど、結局いつも迷子になって最後には泣いてる」
「……うん。そうだったね」
「そんで、いつも俺が一番先に見つけるのな。泣いてる咲絢を」
「……うん……」
この前も、同じ。
一番先に、泣いてるあたしをみつけてくれたのは、恭哉くんだった。
この手のひらに、何度救われたんだろう?
何回涙を拭いてもらったんだろう。
……恭哉くんが、昂くんと同じ瞳をしてあたしを迷わせる。
熱っぽいような、愛しいような。
学校やネットの事がなければ、あたしは絶対に迷うことはなかった。
あたしが選ぶのは、昂くんだと。
だけどあの時あたしの苦痛を和らげてくれた、恭哉くんに再び惹かれていってるのも、また事実。
たまに、恭哉くんの鎖骨や骨ばった手を見たり触ったりするとどきどきする。
それと同時に、恭哉くんの元カノさんに少しだけ嫉妬してみたり……。
今ぐらいに大きくなると何の変哲もないただの道が、あの頃のあたしにとっては未開の世界に繋がる道だと思えたんだ。
それでいつも迷子になって、最後には必ず恭哉くんがあたしをみつけてくれてたっけ。
「あったな。咲絢の『冒険ごっこ』。自分がどこにいるのか分かんないで、俺がみつけた時にはいつも泣いてんの」
「泣いてないよ!」
「泣いてたね。意地張んな」
うっ。泣いてたのは事実だけど。何もそんなに強く言うことないじゃん。
「……咲絢は知らないとこに行きたがるけど、結局いつも迷子になって最後には泣いてる」
「……うん。そうだったね」
「そんで、いつも俺が一番先に見つけるのな。泣いてる咲絢を」
「……うん……」
この前も、同じ。
一番先に、泣いてるあたしをみつけてくれたのは、恭哉くんだった。
この手のひらに、何度救われたんだろう?
何回涙を拭いてもらったんだろう。
……恭哉くんが、昂くんと同じ瞳をしてあたしを迷わせる。
熱っぽいような、愛しいような。
学校やネットの事がなければ、あたしは絶対に迷うことはなかった。
あたしが選ぶのは、昂くんだと。
だけどあの時あたしの苦痛を和らげてくれた、恭哉くんに再び惹かれていってるのも、また事実。
たまに、恭哉くんの鎖骨や骨ばった手を見たり触ったりするとどきどきする。
それと同時に、恭哉くんの元カノさんに少しだけ嫉妬してみたり……。


