「んと。恭哉くんの番号は……」


そして次に、恭哉くんの携帯に電話をかけなきゃいけないんだけど。




……なんか緊張する。


サイトでは毎日連絡をしてるのに、いざ声を聞くとなると緊張して指がぷるぷるしてる。




1時間ぐらいも葛藤した挙げ句、ようやくあたしは恭哉くんに電話をかけることができた。




あたしだって、やれば出来る子!


何回かのコール音の後、恭哉くんが電話に出た。


「あのっ…!」

『咲絢?どうかした?』

「あ…。き、恭哉くん、急に電話してごめんね」


うわー、あたしかなり挙動不審かも。噛んでるし。


『いや、今バイトだけど暇だから別にいいよ。何か用だった?』

「うん。あのね、来週の土日に恭哉くん家も一緒に、旅行に行けないかなーって。あたしが休みをもらえたからさ。恭哉くんにはいつも助けてもらってるし」


よかった、用件は言えた。


どうかな、恭哉くん達行けるかな?


『来週の土日?分かった、空けとく。ちなみにどこ行くの?』

はっ。しまった。行き先を決めてなかった!



「う…。まだ決めてない……」



恭哉くんは電話の向こうでくすくす笑っているみたいだ。



『なら、こっちのみんなと相談して決めとくから。決まったら電話する』

「そうしてもらえると嬉しい。海が近くてご飯が美味しくてゲーセンがあるとこがいいな!」



だって、どうせ行くなら、ねぇ?




『近場にないかもよ?ま、いいや。今、上司に睨まれたから電話切るぞ。おやすみ。ちゃんと飯食って寝ろよ』

「ごめんね!おやすみなさい!」



はー。

緊張したー。



でもみんなで行き先を決めてくれるんだ。


へへっ。旅行が楽しみ。