引っ越しも終わり、仕事も学校も相変わらずハードな生活を過ごしていた7月のある日、高橋さんが嬉しい報告をしてくれた。




《啄木鳥の森》の収録本番が始まる前に、前倒しのお盆休みをもらえることになったんだ。



休みは3日間。




……というわけで、ただいまお母さんに電話で絶賛交渉中。


「……だからね、あたしの仕事のせいで家族旅行なんて行けなかったじゃん?一泊ぐらい旅行に行きたいなーってさ。梶さん家も誘ってみんなで」



もう2年以上も家族旅行なんて行けてないんだもん。

旅行ぐらいゆっくり行きたいよー。



『でも休みは休日なの?土日じゃないと和生は学校があるし…。梶さん達にも聞かないと』

「日曜日が二日目だから大丈夫だよ。それに恭哉くんにお世話になったから、そのお礼」

『分かった。お父さんと和生に聞いてみる。梶さんには明日聞いとくわ』

「恭哉くんは直接あたしが電話するよ。じゃあ、お願い」



恭哉くんとはサイトで毎日連絡しあってはいるけど、やっぱり直接お礼は言いたいしね。


『はいはい。ちゃんと食べるものは食べなさいね。おやすみ』

「おやすみなさーい」



最後はやっぱり心配そうな口調でお母さんは注意した。


そんな会話もとってもありがたいと感じる。