「………俺だって小学生ん時からこの業界にいたし?だからきったねぇ仕事もやらされたし、先輩達のパシリだってやってきてんだよ。そんな俺らから見りゃ、確かにお前は温室育ちの甘ちゃんだよな」

「……んー。桜小路さんや月島くんにそう言われるならそうかも知れない。だけど、クラスのみんなが苦労してるってわけでもないでしょ?あたしだってツラいと思ったことは何回もあるよ?」



睡眠不足。ウォーキングのレッスン。体型の維持。


それでもカメラの前で笑っていたいのは、『あの人達』のため。



だから、あたしは笑える。




イジメなんかして顔を歪ませている人達は、カメラやお客さんの前でどんな笑顔を見せるの?



「あたしは、イジメなんかする弱い人達には、絶対に負けないよ?」



長身の月島くんを見上げて言った。



「……おもしれぇな、お前」


月島くんがニヤリと笑う。



「……事務所には《ぷれしゃすっ!》の映画版、俺が主役だと思ってやれって言われてるけど、お前なかなか潰れそうにねぇな」

「あったりまえじゃん!」



《ぷれしゃすっ!》は、あたしが主役なんだから。ばかやろ!