あたしがいつも後ろをついて歩いてる、隣の家の3才年上の梶恭哉(かじ きょうや)くんに、彼女ができた。

恭哉くんにとっては初めての彼女さんだ。


恭哉くんの家から出てくる二人を見ると、まわりの空気がピンク色に染まってるみたいで。


見ているこっちが恥ずかしくなって、思わず目を背ける。



……ううん、違う。


目を背けたくなるのは、二人の甘ったるい雰囲気にあてられたからじゃ、ない。



あたしが恭哉くんにとっては、所詮《妹》みたいな存在にしか見られてなかったこと。


恭哉くんには、あたしは《恋愛対象外》だったことが、辛くて哀しいんだ。



だってあたしは、まだ中学の2年生。高校2年生の恭哉くんに比べたら、まだ子供にしか見えないんだろう。


あたしは恭哉くんが初恋の人なのに。



二人が触れるだけのキスをしてる。




………やっぱり、初恋は叶わない。



そんなやるせなさを知った、中2の春。






.