毒舌に惑わされて

野村くんは人当たりがよく、誰からも好かれている。

野村くんと付き合ったら…結婚したら…楽しくて穏やかな生活が送れるかもしれない。



終業時刻が近くなり、メールなどを確認する。今夜は何も予定がないから少し残っていこうかな。

一時間くらいやったところできりが良かったので、パソコンの電源を落とす。

さあ、帰ろう!


「安藤さん、ちょっとこれのコピーを頼むよ」


片付けようと立ち上がった瞬間、課長と目が合ったのがいけなかった。


「はい。分かりました…」


急いで帰る必要なんてないけど、帰る時間延びたのは気分がいいものではない。ため息が出る。


「安藤さん、それ終わったら、一緒に帰りましょうよ。美味しい焼き鳥屋さんがあるんで、行きましょう」


野村くんがスッと近寄ってきて、小声で話しかけてきた。


「うん」


焼き鳥と聞いて、よだれが出そうになる。

嫌なコピーが楽しくなる。

私って、単純だ。