毒舌に惑わされて

「想像通り、さばけないわよ」


「やっぱりね」


実は料理は苦手なほうだった。


「莉乃が作れなくたって、聖也が作れるからいいじゃない」


「姉貴ー、何で俺が莉乃に作ってやることになってるんだよ。関係ないだろ?」


「まあまあ、そんな堅いことは言わない」


「は? 意味わかんないんだけど」


姉弟喧嘩の勃発かな。


「葉月、2人は子供じゃないんだから、口出しする必要ないよ。見守ってやればいいんだ」


「そうね。そうするわ」


葉月はマスターの言うことなら、よく聞く。マスターのおかげで姉弟喧嘩は軽く終わったけど、何を見守るんだ?


「莉乃、今日は泊まって行ってね~」


酔ってマスターの肩に寄りかかっている葉月がご機嫌に言う。

泊まり? いや、帰るつもりですが…


「葉月、あたし帰るよ。お泊まり道具、何も持ってきてないし」


「でもー、誰も送れないわよ。みんな飲んじゃったもの」


そうだった。聖也もマスターも飲んでいる。