毒舌に惑わされて

苦笑するマスターにたいして、葉月は拗ねた顔で隣りに座るマスターの腕を軽く叩く。

この夫婦は結婚して3年目になるが、羨ましいほど仲が良い。


「おい、何ニタニタしてるんだよ」


隣りから不機嫌な声が聞こえた。


「葉月たち、仲良いな~と見てただけだけど」


ただ見ているだけなのに、何か文句があるの?私のことなんて気にしなくてもいいのに。


「ふーん。そんなことか」


「そんなことって?」


「聖也は莉乃ちゃんのデートが気になっていたんだよ。な?」


「は?全然気になってないから」


マスターに言われて、聖也は不機嫌そうに答える。

そうだよね…。気になっていたと言われて、一瞬ドキッとした私は何となく落ち込んだ。


「でもさー、この前、聖也の家に泊めたんでしょ?本当に何もなかったの?」


今度は葉月がニヤニヤしながら聞く。実は、本当に何もなかったのかどうかは私にも不明だった。

真実を知る人間は聖也ただ1人なので、3人で聖也を見る。