楽しい時間を過ごせたから、また会ってもいいと思った。それに返事は出来るだけ早くしなければいけないとも思った。


プッ、プー!


突然クラクションの音が鳴る。

えっ? 誰?

反対側にシルバーの車が見えた。それのハンドルを握っているのは…


「ん?あれって、聖也?」


大倉くんが私よりも先に気付く。


「もしかして、聖也と約束してたの?」


「ううん、違う。聖也の姉の葉月と…、あ!」


朝の電話で「迎えに行かせる」と言っていたことを思い出す。てっきりマスターが来るのだと思っていた。

迎えにくるのは、弟の聖也だったんだ。


「おい、のんびりしてないで早くこっちに乗れよ」


気の短い聖也が呼びに来て、大倉くんの車の助手席のドアを開けて、私の腕を引っ張る。


「ちょっと、待って。時間、早いよ。葉月は6時に迎えに来るって言ってた。シャワー浴びて着替えたいんだけど」


さすがに汗ベタベタで友人宅に行きたくはない。化粧も落ちているから直したい。