もしかして、これはデートのお誘い?

大倉くんみたいな人に誘われるのは悪くない。どちらかというと大歓迎だ。


「うん、いいよ。遊ぼうか」


即オーケーしてしまう。だって、何も問題はないし。


「あれ、莉乃ちゃん、彼を気に入ったの?」


「ふふっ、だっていい人だし」


カウンターに戻ってきたマスターがカクテルを作りながら、ニヤニヤと笑う。嫌な笑いだなと思うけど、大倉くんに誘われたのが嬉しいから気にしない。


「大倉さん、物好きですね。こんなのがいいなんて。こいつうるさいですよ」


「なに言ってるんだよ。莉乃ちゃんはかわいいし、素敵な人だよ」


かわいいに素敵な人!そんなことを言われたのが久しぶりだから、私はふわふわと舞い上がりそうなくらい嬉しくなった。

だから、トイレから戻ってきた聖也の暴言は気にしない。


この夜、私は大倉くんと連絡先を交換して別れた。

聖也が何かブツブツ言ってたけど、全然耳に入って来なかった。楽しい夜だったな。