「それはどうして?」


「えっ?」


決心して言ったのに、納得されなかったようだ。


「どうしてって?」


「莉乃の気持ちは?」


つまり聖也もそこはちゃんと聞きたいのね。聖也の聞きたいことを察知した私は、心を落ち着かせるように深呼吸する。


「聖也が好きだよ」


「フッ、俺も」


聖也の表情が柔らかくなった。

キリッとした顔のほうが私好みのイケメンだけど、少し締まりがなくなった顔を良いし、ドキドキする。


「俺もじゃ分からない。もっとちゃんと言って」


「わがままだな」


こんなわがままは好きな人にしか言えない。それに好きだから、許されるわがままだし、欲張りになる。

もっともっと、聖也の口から甘い言葉が聞きたい。


「好きだよ。莉乃がばあさんになっても好きでいてやる。だから、安心しろよ」


「なによ、それ。じゃあ、ずっと好きでいてね。言ったことは守ってね」


いつの間にか立ち上がっていた聖也は私の後ろに来ていて、後ろから抱き締められる。