「ネックレスはどこ?」


「寝てた部屋に決まっているだろ?」


決まっているなんて言われても、そんなの記憶がないのだから分かるはずがない。

でも、反論出来ないから、おとなしく隣りにあるベッドルームのドアを開ける。

ベッドサイドに小さいテーブルがあり、その上に忘れ物があった。


「あ、あった! これよ、これ! 良かったー。では、おじゃましました」


もうここに用はない。目的は果たしたし、居心地悪いから早々と退出しよう。


「待て」


聖也の横を通り過ぎて、玄関に向かっていたら、腕を掴まれる。

何かご用でしょうか? もう帰りたいんだけど…

無言で訴えた。

目が合う。やっぱり好みの顔だ。でも、残念な性格だ。


「ムシャクシャするから、抱かせろよ」


「はい?」


「抱いてやるよ。お前、男いないだろ?寂しいんだろ?」


そのバカにした誘い文句は何?


「別に寂しくなんてない。聖也の欲求不満のはけ口になるつもりもない。離してくれない? 帰りたいの」